強い国家を創るためには、第一に総体的に国民の力を底上げしなければならない。国民一人ひとりが基礎的な力を身につければ、次なる社会の変化に対応できるよう応用が利くようになる。とくに我が国は先進国として世界で最も人件費の高い国の一つであるから、それぞれの国民の高度な能力、卓越した知、およびそこから生み出された価値がなければ、我が国は衰退していくしかない。
 また、少子化の最も大きな原因は高い教育費にある。これは公教育に対する不信の表れであり、無理をして私立学校に通わせたり、学校の外においても高いお金を費やして教育させなければならないといった事態を生みだしている。日本経済の地盤強化のためにも、教育に必要以上のお金を使わせるべきではない。加えて例外はともかく、多くの子供が学校が終わってから数時間をさらに知識を得ることに費やすというのは、体育や徳育の観点からみて、子供の健全な成長のためにも良いことではない。
 以上の認識を以て、個を伸ばし、強い国家をもたらすための教育に関する具体策を提言する。

(1)基礎教育の強化
 グローバル化された社会において、人件費の高い我が国においては、国民それぞれが基礎的な力を身につけることが出来なければ生き残ることすら出来ない。義務教育レベルでは落ちこぼれをつくってはならない。基礎的な力を身につけさせることなく卒業させてしまえば、むしろその人の人生にとって不幸である。まずもって基礎教育を強化しなければならず、以下の具体策を実施すべきと考える。
・各年次レベル毎に児童・生徒に修了試験を課す。
・小・中学校の各卒業時に卒業試験を課す。
・修了・卒業試験ともに複数回行う。補習も手厚く行う。どうしても合格ラインを達成出来なければ次の年次に上がることは出来ない。逆に努力によって年次の挽回も可能とする。

(2)柔軟な飛び級制度の確立
 6・3・3・4制はもともと発達段階に則った制度であるから、科学の見地から変更の是非を慎重に検討すべきであるが、それよりも人間の発達は、ある面では成熟度が高く、ある面では低いということが頻繁に起こるものであるから、むしろ教科毎に柔軟に飛び級をさせ、それぞれのレベルに合った学習を行うことを目指すべきである。飛び抜けた才能や早熟な個の特性には対応し、伸ばしてやることができるような制度設計とすべきである。
・教科毎に「習熟年次レベル」を設定し、試験に合格すれば次の年次レベルに行くものとする。
・小学校習熟6年次レベルがすべての教科(徳育・体育含む)において修了すれば中学校に進学できるなど、飛び級制度を柔軟に設計する。

(3)多様な才能の育成
 ある分野に著しく長けた子供をその才に合った高みまで持ち上げることには、一般家庭では捻出できないほどの莫大な費用や時間などのコストが必要である。また、そもそも才を伸ばしてやる環境が周囲にないことも多い。そのため保護者は子供にその道を追求させることを断念してしまうことも少なくない。これは国家にとって大きな損失である。才能を生まれた家や場所などの都合によって腐らせてしまってはならない。育み、活用しなければならない。
・多様な専門分野における全寮制の公立学校の充実。
・専門領域を固定しない、私学奨学制度の確立。

※ただし専門公立学校においても最低限の基礎教育は確保しなければならない。その道に断念したときに、新たな道に再チャレンジさせるためである。

(4)地域間教育格差の是正
 教育格差は所得のみではなく地域においても顕著である。地方の高齢化は教育環境が整っていないことも一因である。中央―地方間の格差を是正し、全体の底上げを目指すならば、地域間教育格差の是正を行わなければならない。
・都市への進学を希望する者への各種補助制度の確立。

(5)大学入学制度改革
 早熟な若者や知的に優れた若者に飛び級を許したところで我が国の大学が彼らを受け入れないことには、その後の知の活用がなされないし、優れた知が年齢制限を設けない国外の大学に流出してしまうことになる。そのため大学入学資格に年齢の枠を外すなどの制度改革が必要である。
・入学試験に合格した生徒の大学入学を認める。
・徳育・体育に劣り、知育に目覚ましい生徒の大学・中高の兼学を認める。

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